むし歯治療

むし歯になる原因とは

いくらしっかりケアをしてもむし歯になりやすい人もいれば、適当にしかケアをしなくてもむし歯になりにくい人もいます。
これは「お口の中にむし歯菌がいるかどうか」で変わります。
むし歯菌の代表格であるミュータンス菌は、歯の表面についたプラーク(歯垢)に棲みつき、糖分を栄養にして酸を出します。この酸が歯の表面の硬いエナメル質を溶かし、その部分に穴をあけてむし歯にしてしまいます。
日本人の約9割以上がむし歯にかかっているといわれています。初期のむし歯であれば、酸で溶かされた歯の表面を修復する「再石灰化」による自然治癒が見込めますが、エナメル質の内側の「象牙質」まで進行したむし歯は、治療なしに元通りになることはありません。
むし歯になるメカニズムを知って、歯を守るために「予防」に努めましょう。

むし歯の進行について

初期むし歯

歯の表面を覆う「エナメル質」がむし歯菌の出す酸の影響を受けて酸性になると、エナメル質に含まれるカルシウム成分が減少する「脱灰」という現象が起こり、歯の表面に白い斑点ができます。これは「ホワイトスポット」と呼ばれ、痛みなどの自覚症状はありません。ホワイトスポットはむし歯の初期状態ですが、この段階であれば、削るなどの治療をせず。適切なブラッシングやフッ素塗布などの治療で、脱灰した部分を修復する「再石灰化」させることによって治すことが可能です。

エナメル質のむし歯

「ホワイトスポット」の状態の初期むし歯が進行すると、歯の表面のエナメル質がさらに溶かされて、灰白色や黄褐色、黒褐色などに変化します。
この段階でも、初期むし歯同様に、まだしみる・痛むなどの自覚症状がない場合が多いです。
この段階になってしまうと、もう自然治癒は見込めないため、治療を行う必要があります。むし歯になった部分が拡大しないように残さず削り取り、削った部分を歯科用プラスチックである「レジン」で詰めて、歯の形を整えます。レジンは型取りの必要がないため、1日で治療は終わります。

象牙質のむし歯

冷たいものや甘いものを食べたり飲んだりした時、歯がしみることがあります。これは、エナメル質の内側にある「象牙質」にまでむし歯が進行してしまった状態です。象牙質の内側に神経が通っているため、神経に触れてしみると感じるのです。
治療は、エナメル質のむし歯の時と同様に、むし歯の部分を削って詰め物をしますが、「インレー」と呼ばれる詰め物を使うため、型取りが必要になります。詰め物の製作が必要になるため、治療は2回かけて行われます。

歯の神経のむし歯

さらにむし歯が進行すると、むし歯が「歯髄」と呼ばれる神経の部分まで達します。むし歯の穴はさらに広がり、飲食をしたりしなくてもズキズキと痛むようになります。この段階までくると、歯ぐきの上の見えている「歯冠部」はほとんどむし歯に侵されていることがほとんどです。そのため、むし歯を削り取る治療を行った後に、歯型を取って「クラウン」と呼ばれる被せ物を製作して、クラウンでフタをします。そのため、治療期間が長くかかります。

歯の根のむし歯

歯の根っこにまでむし歯が達して歯髄が死んでしまっているため、痛みを感じない状態になります。ここで「治った」と思う方もいらっしゃいますが、さらに放置すると、歯の根っこに膿がたまり、再び強烈な痛みが生じます。この状態になると「根管治療」が必要になります。根管の内部にある、むし歯菌に感染した神経を取り除き、根管内を消毒して無菌に近い状態にします。薬剤を詰めてから密閉のためにフタをして、クラウンを被せます。症状がひどい場合は根管治療ができないこともあり、その場合は抜歯するしかありません。

むし歯を繰り返さないために

一度治療した歯が再びむし歯になってしまうことを「二次むし歯」または「二次カリエス」と言います。むし歯の再発を繰り返して悪くなった部分を何度も削っていると、当然ご自身の歯がだんだん少なくなっていき、抜歯しなければならなくなります。
むし歯を繰り返さないためには、むし歯の原因や仕組みを理解して、適切な歯磨きなどの「セルフケア」と、歯科医院での定期検診やクリーニングなどの「プロケア」をすることが大切です。