入れ歯について(部分入れ歯の特徴について)
平成22年12月 日比野佑規 筆
歯周病やむし歯、外傷などのさまざまな要因で、残念ながら歯を失った場合、入れ歯やブリッジ、インプラントで歯を補う必要があります。
今月は入れ歯についてお話しています。今日はその3回目、その中でも部分入れ歯についてお話していきます。
入れ歯には、すべての歯を失った時の総入れ歯と、歯を1本失った方から1本しか残っていない方が装着する部分入れ歯との2種類があります。
部分入れ歯は、維持装置、連結装置、義歯床、人工歯の4つの要素から構成されています。
中でも、部分入れ歯の特徴として維持装置があげられます。維持装置の代表的なものは歯に引っかかる針金の様なもので、入れ歯を歯に固定し安定を図る他、咀嚼時の咬合圧を歯に分散させ、歯肉への圧を軽減さるなどの役割があります。総入れ歯では全てが歯肉への負担となるためそれは存在しません。
ブリッジに比べ、部分入れ歯は、歯を削る量が少なくてすみ、またブリッジを装着できない多数歯にわたる欠損にも適応できます。
しかし部分入れ歯は、ブリッジとは異なり固定式でないため、毎回着脱するわずらわしさがあり、違和感も大きくなってしまいます。
歯を失っても会話、咀嚼、審美に問題がない場合、そのままにする方もいますし、部分入れ歯を作成しても、その異物感やわずらわしさで使わない場合がありますが、歯を失うとその時は問題が生じなくても、その周囲そして口腔内全体に問題が出てきます。
横にあった歯は傾き、噛み合っていた歯は徐々に伸びてきます。それによりプラークが溜まりやすくなったり、歯に異常な力が加わり歯周組織を破壊していきます。
歯の欠損の状態によりそのままにしておく場合もありますが、欠損の様式は上下顎で約2億7千万通り存在し一人一人違いますので、歯を失った方はどのような形の入れ歯やブリッジが入り、この先どのように回復させていくのか、歯科医院でよく相談をする必要があります。